MR協会について


認定試験を受験された皆さん、お疲れ様でした。主任試験員講評をHPに掲載しました。『CPS認定試験』『UCPC認定試験』は相通じる部分がありますので、双方の講評を参考にされて、今後の研鑽にご活用ください。(CPS認定試験については、後日講評を掲載します)
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                                  平成29年12月 認定

平成29年12月2・3日に実施されたUCPC試験には、14名の方が挑戦していただき、6名の方が合格しました。うち3名はMRIの保有者です。
MRIの方々は、底堅い実力を発揮していただきました。支援戦略の面では、まだ必ずしも十分とは言えませんが、UCPCとして「運転免許レベル」の実力は十分認められました。合格したMRIの中には、カウンセリングの現場を持っていらっしゃらない方もいます。しかしMRIのトレーニングを積む中で、基礎講座の内容をしっかり自分のものとして落とし込み、講師としての表現力や惨事後ミーティングなどでの全体に対する視野を鍛えてきたことが、結局個人カウンセリングのパフォーマンスを底上げしているのだと感じました。
MRI以外の3名の合格者はいずれも今回が複数回目の受験での合格です。UCPCの受験失敗後に、それぞれ努力し、とにかくロールプレイの練習をこなしてきた方々です。
残念ならが不合格だった方々も、かなり高いパフォーマンスを示していただきました。他のカウンセリング団体なら、カウンセリング業務のエース級の実力を持っていると思います。ただUCPCは、さらに実践力の高いカウンセラーを認定するものなのです。
引き続き、ロールプレイの練習を積んで再チャレンジしてください。

皆さんの今後の更なる実力向上のため、主任試験員として気が付いたポイントを2つご紹介します。これは合格した方々にも気を付けていただきたい事項です。
                              主任試験員 MRSI 下園壮太

1 カウンセリング目標を柔軟に変える力が不足している

 話したいことを話してもらうだけのカウンセリングなら、カウンセラーが考えることはそれほど多くはありません。ただ現実のカウンセリングでは、クライアントの満足度を少しでも高くするため、時間管理を含め、クライアントのどういう苦しみをカウンセラーの知識や技術をどう使って和らげるのかという戦略的な思考が必要になります。

 ただ、この戦略的思考が難しいのが、あくまでも最終パフォーマンスを決定するのはクライアントであるということです。いくらカウンセラーが、戦略的に物事を進めようとしていても、結局それが独りよがりなら、パフォーマンスは上がるどころか、相手を苦しめるカウンセリングになってしまいがちです。

 つまり、戦略的にカウンセリングをコントロールする力と、相手の意向や要望に合わせる力の両方が必要で、そのバランスをとっていかなければなりません。

 ところが、一般的に男性に多いのですが、自分が立てたカウンセリング目標を達成することだけに視点が向き、クライアントから別の情報が出ているにもかかわらず、カウンセリングの方向修正ができない人がいます。

 例えば、カードゲームのようなものだとしましょう。自分が思い描く上がりの姿がイメージできると、カウンセラーは、足りないカードを探しながら相手の出すカードに注目します。なかなか思い描くカードが出てこない時、おかしいと感じて他の質問をして、所望のカードを引き出そうとします。いよいよ終盤になり、自分の予想した上がりカードは半分もそろっていない。でも最後は「あなたはこうだ、だからこうしろ」と説得を始めてしまうのです。

 岡目八目で横から見ていると、クライアントは違うカードをたくさん出しています。なのにカウンセラーは、クライアントが出すカードをしっかり見ずに、自分の思い描くカードだけに心を奪われて最後までそれを離せないのです。

 一般的な仕事や論理的な作業手順では、自分の設計図で主体的に進めることができます。それは大切なことなので、大人になる段階では、自分の設計図を明確にする技術をかなり鍛えられてきました。ただ、カウンセリングはもっと高度な思考をしなければならないのです。自分の設計図だけでなく、相手がそれを受け入れられるか、納得できるかという視点を忘れてはいけません。上級講座でご紹介した「カウンセリングとは、相手理論を探す支援」という一定義を思い出してください。

2 不安への対処法

 今回のクライアントは、明日の会議が怖くて仕方がないという主訴を持っていらっしゃいました。

なかなか上手に支援できなかった受験者は、上で述べたカウンセリング目標の設定、修正で失敗した人が多いようです。つまり、3か月前の上司の突然の死亡や、遺族からの叱責、上司からの叱責、その後の過労と不眠という事象から、うつや惨事の対応を中心に設計図を組み立てた方が多いのです。その設計図自体は誤りではありません。その方向でうまくいくクライアントもいるでしょう。

ただ、今回のクライアントは違いました。とにかく「明日の理事会が怖い、何とかしたい」ということを訴え続けているのです。痛いところで言えば、自責感、無力感、疲労(負担)感より、まずは「不安」が強いかただったのです。ですから、休めばいいでしょうとか、FSは時期に収まりますという説明では、少しは楽になっても、今日突然カウンセリングに来た目的は達成できないのです。

ロールプレイの後で、クライアントの不安のことを尋ねると、そこに意識が向いていないわけではありませんでした。ただ、「それは仕方がないでしょう」という認識で、結局自分の持っているツールでの解決に突き進んでしまったのです。

確かに、大人だったら、明日出席しないわけにはいかないという現実が変わらないことは理解できます。だからそこにふれないというのなら、父が亡くなって悲しい、というクライアントにも、その話は聞いても仕方がない(現実的対処方法がない)、と切り捨てるのと同じことです。

不安は、まずその具体的な事象を聞いてください。惨事の「体験を聞く」のと、同じ感覚です。どんな状況で、どういう怖いイメージを持っているのか、そのために、今どんな準備をしているのか、他の人はそれにどう対処しているのか…。

不安という思考は、最終的な悲惨な結論のイメージだけを反復させます。カウンセラーと冷静に具体的に話をしているうちに、本人なりに「そうか、それほど心配することはないのかも…」とか、「どんなことをしても怒られるんだ」などと、本人なりの覚悟ができることがあるのです。

その効果がなくても、少なくともしっかり怖さを共有してくれた人がいる、という味方感ができれば、カウンセラーからの「明日は、本当に大変だけど、なんとか頑張ってね。」というエールに勇気づけられるし、たとえそこでダメージを受けても、この人を頼ればいいという安心感が生まれるのです。

カウンセリングの経験が豊富になってくると、このような不安への対処の勘所がつかめるようになってきます。それまでは、「仕方がない、どうしようもないこと」と思うことでも、そのテーマをスルーせず、勇気を出してその事柄をもう一度具体的に聴く努力をしてみてください。きっと新たな展開を感じられるようになっていきます。

認定試験を受験された皆さん、お疲れ様でした。主任試験員講評をHPに掲載しました。『CPS認定試験』『UCPC認定試験』は相通じる部分がありますので、双方の講評を参考にされて、今後の研鑽にご活用ください。(CPS認定試験については、後日講評を掲載します)
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                                  平成29年7月 認定委員会

平成29年7月15・16日に実施されたUCPC試験には、13名の方が挑戦していただきました。
今回は4名の方が合格しました。
4名のうち2名はすでにMRIを持っている方なので、この試験がいかに難しいものかを改めて感じる2日間となりました。
今後の更なる実力向上のため、次のようなアドバイスを紹介いたします。
                              主任試験員 MRSI 下園壮太

1 体調を整える

 まず、残念だったのは、万全の体調で試験に望めなかった方がかなり多くいらっしゃったということです。主任試験員の私も10日間風邪で体調を崩しました。今年の不順な気候のせいです。自分ではどうにもできない部分だということはわかっていながらも、指摘しておきたいと思います。
 やはり、体調がよくないと、本来のパフォーマンスが発揮できません。MRCクラスの試験までなら、まだ練習や事前の学習内容の整理で、体調が悪くてもなんとか合格できるでしょう。しかし、UCPC以上になると、思考力を使わないと対応できない状況が仕組まれています。ぜひ、ご自分のパフォーマンスを最大限発揮できるように、環境の調整にも配慮してください。

2 時間管理

 いろいろ思考は巡っているのに、20分で終了できずに、焦って最後に言わなくてもいいことを言ってクライアントを不安にして終わった方もいらっしゃいました。実にもったいなかった。
 ただ、同じような傾向は多くの受験者に見られました。3つの問題があります。
一つは、時間管理。自分がこれからやろうとしているケアの手順、例えば、症状確認、説明、出来ること探し、などに、どれぐらいの時間がかかるかのイメージが不十分なのです。
厳しいことを言いますが、ひとえに練習不足。頭だけでやっていては、時間間隔は磨かれません。クライアントの対応により、どう展開していくか、展開が違ったとき、どう治めるか、そのためにどれぐらいの時間が必要か…などを、ぜひロールプレイの回数をこなすことで習得して下さい。

3 自分の作戦に縛られない

 先の方が惜しかったのは、非常に良いカウンセリングをして味方になっており、もう本当に簡単なアドバイスだけで充分、というところまで来ていたのに、「うつの対処を説明しなきゃ」と思ってしまったからです。急に「うつ、受診、休養」などと言われて、クライアントは動揺し、それをフォローする間もなく終了してしまいました。
 そうなったのは、問題の2つ目、事前の作戦にこだわりすぎたからです。
 個人上級で学んだ「状況把握」「カウンセリング目標」などが頭にあると、いろいろと思考が巡ります。もちろん良いことです。ただ、それは一回実施しただけでなく、常に修正しながら進めていかなければならないのです。
 ご紹介したケースでは、もし最後の方で「バリア病…」をやれていたら、「残りの時間はない、うつもそれほど切迫していない、もう十分味方になれた」と状況を理解し、「ここでは、味方になるだけで安心してもらい、何かあった時の連絡だけつければいい」というカウンセリング目標に移行できたかもしれません。
 どうしても、思考優位の男性は、よく考えて自分で納得した分、決めた作戦、説明、手順を、そのまま突き通す傾向にあります。相手の反応をよく見て、修正をしながら進める技術がUCPCには求められていることを忘れないでください。
と、書きましたが、これも理屈ですね。これができるには、やはりロールプレイの回数をこなすしかありません。

4 クライエントによって、説明の入りやすさが違うことを認識する

 そして3つ目の問題は、どうしても私たちは、正しいことは通じると思ってしまう。
 講座で紹介したように、カウンセリングとは「相手理論」を探す作業です。
カウンセラーは、「これは遅発疲労」だと分析しても、それがクライアントにしっくりこなければ、クライアントが、納得し、落ち着き、苦しさを減らす方向の行動ができるような説明にはなっていないということです。クライアントにとって力となるような説明を必死で模索しなければなりません。
 今回のクライアントは、疲労はピンときませんでしたが、娘さんが独立した「寂しさ」には、非常に強く反応していました。
うつを説明するときに、疲労→うつの流れでなく、愛する人がいなくなるとうつっぽくなるという方向からの説明の方が、入っていきやすかったのです。

5 とにかく「事例」が足りない

 残念ながら前回のCPC,UCPC試験に比べ、事例を出す方が少なかったと思います。
 事例は、同じようなケース、ということで、コップや電池の話は、比喩です。比喩はほぼ全員が使っていましたが、事例は使えていません。
 例えば、上の例でも、理屈で「愛する人の喪失→うつ」を説明するのでなく、自分や友人の経験を借りたり、必要に応じて創作するのです。
 例えば、長男、次男が相次いで大学生として独立し、受験の大変さからは、肩の荷が下りたはずなのに、夫が帰ってみると、暗いキッチンに電気もつけずに、だだボーっとしている妻がいて、話を聞くと「寂しい、息子たちに会いたい」と泣く。それでも、子供たちに、メールをするようにお願いするなどしていたところ、半年ほどたつと、以前の快活な妻に戻った…などという話をする。これが事例です。
余計な理屈なしに、今のあなたは「ムリもない、だれでもそうなる」でも「回復できる」というメッセージを差し上げることができます。

6 もう少し説得力を持って説明できるために、講座内容の理解を深めておく

 単純理論で説明する場合も、自分理論、相手理論の区分で言えば、まだ、「借り物理論」の方が多いようです。なので、アレンジと、説得力がない。
 例えば、今回の事例では、娘の大学受験の支援で半年感の心労と不眠がちな生活により、年明けごろには、2段階に陥っていたのです。そこに、3月から4月の娘の独立支援のために、何度か新潟に訪れた。また、4月以降もこれまで配慮していただいた分を取り戻そうと、休みを入れずにバイトに出ていた。それで、2段階下に来ていたところに、火事に遭う。だから、普通の人より2倍から3倍のショックを受けてしまった。
 そういう流れで説明すれば、「どうして私だけ…」「以前より楽になっているはずなのに…」「疲れている実感はないのですが…」という疑問にも答えることができます。
 そして、その流れで、もしかしたら「死にたい気持ち」が出ている可能性も考慮して、そのことを確認することもできます(疲労を自覚できない2段階でも死にたい気持ちが出ていることがありましたよね)。


いずれにしても、受験した方々のレベルは本当に高い。他のカウンセリング関連組織では、リーダーとして十分やっていけるレベルです。ただ私たちの協会が目指すのは、もっと高いスキルです。
そこに至るには、理論もさることながら、何度も練習することです。実践の機会はそれほどないと思いますので、勉強会はもちろんのこと、講座の実技指導や試験などのクライアント役、試験員役などの機会をぜひ活用して、レベルアップを図っていってください。


認定試験を受験された皆さん、お疲れ様でした。主任試験員講評をHPに掲載しました。『CPS認定試験』『UCPC認定試験』は相通じる部分がありますので、双方の講評を参考にされて、今後の研鑽にご活用ください。
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                                  平成28年12月 認定委員会

平成28年12月3・4日に実施されたUCPC試験には、7名の方が挑戦していただきました。
前回(7月)は、合格者がいなかったのですが、その後皆さんが自主的に勉強した成果があり、今回は受験者全員、非常に高いレベルのパフォーマンスを示していただきました。 
とはいえ前回も講評した通り、UCPCの合格レベルは、非常に高いレベルに設定しています。今回は2名の方が合格しました。
そのうち一名の方は、CPS試験を一度落ちていますが、UCPCの試験は一度での合格です。CPSでの不合格で、基礎部分をしっかり鍛えたことが、結果的にUCPC合格の近道になったケースです。
今後の更なる実力向上のため、次のようなポイントを参考にしてください。
                              主任試験員 MRSI 下園壮太

1 自責の念の扱い方

 今回は自責の念の強いクライアントでした。自責を訴えられると、多くの受験者が「そんなことはない、あなたはよくやった、頑張っている、責任感が強い」と、励ましてしまう傾向がありました。
 「責めないよM」を出したいという発想かもしれませんが、メッセージ的に言うと、これは、「変われM」として受け取られます。カウンセリングの場では、「私はあなたを責めないよ。でも責めているあなたは変わらなくていいよ」というバランスの対応が必要になります。
 基礎講座で自責対処のスライドにあるように、まず自責をゼロにしようとしている自分に気が付いてください。

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 惨事やうつの自責は症状です。いくら理屈を言っても、簡単に減るものではない。風邪をひいている人に、咳をしても意味がなく、周囲が迷惑するからやめなさいと言って、本人が本当にそうだと思っても、咳は止まりません。それと同じです。
 次に自責の対応の重要な3つのポイントを押さえてください。
 自責は、まずは「懺悔効果」。
 味方になり、自責を語ってもらいます。そして、自責のつらさに共感する要約をしっかり返してあげるのです。
 その過程の中で、自責に感じていることを、もっともっと具体的に詳しく聞かなければなりません。多くの人が、自責のことを聞くと、さらに自責の念を深めてしまうと勘違いしています。確かに、配慮のない応答で尋問調だと責めるMが出てしまいますが、しっかりMCを行い味方のスタンスで聞くと、本人が自責を感じている背景の事実認識が具体的に理解できます。(惨事で事実認識を詳しく聞くのと同じ感じです。)それを理解してから、苦しかったねMを載せた要約をする。この過程が自責対応の基本です。安易にそれより進んで、「あなたのせいではない」を押し付けてはいけません。

 この自責に感じていることを詳しく聞く作業は、もう一つの効果をもたらします。
それが、「自責でない事実認識の思い出し」です。
 惨事の時は、まず自責の念がわき、その視点で事実認識を作り上げ、苦しんでいます。それを丁寧に聴くことで、「ああそうか、仕方のない部分もあったんだ」と自分で思えるようになることが結構な割合で起こります。
 このときカウンセラーは、少し語弊のある表現ですが、「一緒に言い訳を考えてあげる」スタンスで要約します。
例えば、「塀のことは以前から気になってはいただけど、部下の方が休んで、彼の仕事も担当することになった。毎晩残業しながら、優先順位の高い仕事をこなすことに必死になって、結果的に、塀のことまで手が回らなかったんですね」という要約です。
 そこで、「そうなんです。手が回りませんでした。…でも、課長としてそれではだめですよね。結局事故が起こったんだから」と返答があったら、
「なるほど、課長としてどうしても自分を許せない部分があるのですね。そこが一番苦しいところなのですね」と受け止めます。
 懺悔効果は、受け止めることが、目的です。それ以上必要はありません。この事例ならこの後は、「そんな思いを抱えていると、体調が崩れていませんか」とか「ところで、今後の業務の立て直しはどう考えていらっしゃるんですか」と自然な横堀質問で苦しい自責から話題を転換します。

 自責対処の3つ目は、「償い行為」です。
 自責の念は、理屈で減るものではありません。自責は惨事の反応ですと説明してくださった受験者も何人かいましたが、それもそれほど効果的ではありません。スライドに提示してあるのは、基本的には効果的なものの順です。ただ、一番最後の落とし前の付け方を考えるは、自責の程度が強い場合とても有効な支援となります。
 自責の気持ちは、理屈では変わりませんが、謝罪をするという行動で緩めることはできます。何をすれば償えるのかを一緒に考えてあげるのです。今回のケースでは、Tさんに謝罪の手紙を書くなどの提案が有効でしょう。このような行動をとると、Tさんの気持ちを知ることもでき、自分だけで考えている自責のスパイラルから抜け出すきっかけになることもあります。

2 何をテーマとし、何を捨てるかの選択をする

 UCPCで試されるのは、カウンセリングのデザイン力です。わずか20分のカウンセリング時間を、どう使うのが最もクライアントのためになるかを考えなければなりません。
多くの受験者は、「バリア病E預金ミカタ」の項目で、よく現在の状況を把握しています。ところが、その状況把握が的確になればなるほど、さらに確認したい事、伝えたい事が出てきてしまい、結果的に、矢継ぎ早にいろんな質問をしてしまう傾向が見られました。

 大きく状況を把握したら、クライアントの理解力や、使える時間、味方度など考慮し、カウンセリング目標をしっかり絞り切らなければ、一方的なカウンセリングになってしまいます。
 また、自分だけはよく状況を把握し、必要事項を確認するために質問したと思っていても、時間が迫り焦っていることも手伝い、直Qが多くなってしまう傾向があります。
かならず、横堀質問の場合、事前の要約をするか、質問の意図の説明をする必要があります。

3 説明のための事例・比喩の使い方

 前回も同じテーマで講評しましたが、まだ説得力のある説明が不十分なようです。
症状等の「理由」は十分勉強し、比喩を使おうという意図はあるのですが、比喩はクライアントの症状や関心事項や心情的被害レベルに応じたものでないと、逆に違和感が大きくなります。UCPCが使う比喩は、有効であることが求められます。

 パターンの比喩を押し付けるのでは、相手に受け入れてもらえません。その場でアレンジするか、もしくは、もっといろんなパターンの比喩を日ごろから研究しておくことが必要だと思います。
 比喩が自分勝手になりがちな傾向への対策として、誰かにその比喩を話してみて、うまく言いたいことが通じるかどうか、アウトプットの練習をすることも重要です。全体的に、理論学習は進んでいるのですが、説明練習の回数が少ないように感じました。
また、比喩は有効ですが、比喩より事例の方がもっと有効です。事例を語れるように準備してください。

いずれにしても、皆さんが勉強している方向性は間違いないと思います。今回不合格になった方々も、レベル的に本当にあと一歩のところまで来ています。
引き続き、努力を続けていっていただきたいと思います。

今回の試験について下園主任試験員より講評をいただきました。
皆さんの今後の参考になさってください。 

                                 2016.2.29 認定委員会

全 般

今回は、5名の方が受検してくださいました。UCPCは、個人カウンセリングでは最も高い認定レベルです。その高いレベルに臨むだけの十分なトレーニングを積んだ受験者ばかりで、試験員としても身の引き締まる思いで評価させていただきました。
以下、気が付いた点です。

1.MCは高いレベルにあったが裏メッセージに更なる配慮を

さすがにUCPC。MCのスキルは全員、合格レベルにありました。
ただ、裏メッセージに受け取られやすい表現がいくつかありました。

例えば、「パートから社員になったんです。だから頑張らなくちゃいけないんです」というクライアントの発言に対し、前半部分では軽くうなずき後半が終わったところで大きくうなずくと、「それはそうですよね、頑張る必要があります。(「頑張れていましたか?」」という頑張れ系メッセージに受け取られかねません。
より誤解のないMCは、前半で大きく驚き(すごいですねM)、後半で納得(中程度)のうなずきをします。すると「なるほど、それはどうしても頑張りたくなりますよね」というメッセージが伝わりやすくなります。

例えば、クライアント「私の管理不行き届きだったんです」という自責の発言があった時現実を思い出して自責を緩めようとして、ドアのかぎをかけたかどうか、についての事実認識を聞く場合があります。しかしそのテーマに時間をかけて丁寧に聞きすぎると、「あなたは忘れているかもしれないけれど、あなたに責任がるのではないの」という裏メッセージにとられる確率が高くなります。

例えば、クライアントのいろいろな問題点をたくさん話してもらったのですが、最後に「病院に行ってください」という提案だけなら、すべて病気のせい、あなたが言ってくれた問題など「大したことはない」という裏メッセージにとられかねません。

例えば、いろんな問題に圧倒されて「自信がない」と訴えるクライアントに「その中で一番、どれから手を付けていきたいか一緒に頭を整理しましょう」という応答。これは3つの無力感の1つ目の無力感対策をして、自信を回復してもらおうという作戦ですが、このクライアントの場合エネルギーが低く、しかもファーストショックで苦しんで自信を失っているので、具体的に何かやることが整理されてしまうと、それを実際にやらなければならないという負担感が大きくなります。このケースの場合、「できる」の自信より、「壊れてないよ」というMを補給するため、症状をしっかり説明し、第2の自信を取り戻してもらうことが重要でしょう。

2.時間配分と展開力

今回の試験は、同席のCPSが30分カウンセリングして、ややがけ崩れになったところからカウンセリングを引きつぎ、20分で終結させるという課題でした。この時、この20分をどう使うのが最も効率的に支援できるかを考え、進め方(カウンセリング目標)を選択していかなければなりません。

例えば、味方感を補強するのか、現実問題の解決策を支援するのか、症状説明をして第2の無力感対策をするのか…。この時に、バリア病…の状況確認要素の「場面」での分析、一回きりの介入、しかも施設長というリーダーに対する介入での初めてのカウンセリングであるという特性を思い出してもらえば、ただ味方を強めるのではなく、何らかの「受けてよかった感」を持ってもらう必要があることに気が付きます。すると、やはり症状説明をして自信回復を実感してもらうか、あるいは、惨事の心理特性を説明し、部下の離職予防に対して具体的なアドバイスをするかなどの方向性を見出すことができると思います。

どうしても、これまで慣れ親しんでいたスタイルから離れられず、貴重な時間を有効に使えず、最後に尻切れトンボになってしまった方が多かったようです。
また、進むべき方向はわかっていても実際の場面では相手の話を聞いてしまい、展開ができない人もいました。「バリア病E預金味方」での分析をし、目標を立てたら、しっかりその方向に舵を切れる展開力が必要になります。
ただ、もちろん自分勝手に船を進めるのではなく、クライアントの反応を見ながら、慎重に進めてください。

3.講座内容の深い理解を

UCPC試験は、今年度から始まった新しい制度です。
合格者のレベルは、MRIの個人カウンセリングレベルです。
制度の移行に伴う救済措置として、MRC以上の方には、26年度中に上級講座を受講し申請すればUCPCの資格を付与しました。ただその機会を逃した前田MRIが、今回受験者として挑戦してくださいました。
前田さんは非常に素晴らしいカウンセリングをしていただき、私たちがUCPCに求め、想定していたレベルはがMRIの個人カウンセリングのレベルであることが、間違いなかったと改めて認識させてくれました。

試験終了後、試験委員で前田さんとほかの方々の差について話題になりました。
基礎講座上級講座の内容は、皆さんほぼ同じように理解していらっしゃいます。おそらく違いは、講座でも紹介した「借り物理論」か「自分理論」だと思います。ほかの方々の理解は、まだ浅いように感じました。一方MRIは、基礎講座を「教える」という課題をこなし、かつ実践も踏み、クライシス現場も経験しています。講座でお伝えしている内容を自分なりにしっかり納得した状態で、カウンセリングに臨めているのだと思うのです。そのことを思うと、26年の移行措置で無受験でUCPCを保有したMRCの方と、受験でUCPCを獲得した方の実力差があることは否めません。

UCPCの資格を保有している人も、その資格の示すレベルにご自分の実力を合わせるために、ぜひ、上級講座(個人)の再受講をすることをお勧めします。28年度からは、再受講価格が一律の1万円(+消費税)となり、受講しやすくなります。そして、ぜひ、前田MRI(UCPC)のように、試験にもチャレンジして実力向上のモチベーションとしてください。

今回の試験について下園主任試験員より講評をいただきました。
皆さんの今後の参考になさってください。 

                                 2015.8.3 認定委員会

全 般

今回はうつ・クライシス専門カウンセラー(UCPC)の初の認定試験を実施しました。
UCPCは、うつ・クライシスの個人支援において最もレベルの高い認定です。合格のイメージとしては、基礎講座の主任講師ができるメンタルレスキューインストラクター(MRI)の個人カウンセリングレベルを想定しています。
具体的には、CPSで求められる

  • 短時間に信頼関係を結べる力(味方になる技術)
  • 惨事やうつのクライアントの苦しさを理解し、配慮しながら共感する手順 
  • 惨事の細部やうつ状態の「死にたい気持ち」を聞く勇気とスキル
  • 無理強いをしないでクライアントの助けになるアドバイス

の他に、
様々な状況の中で、最適の支援をするための、

  • カウンセリングの中で刻々と変わる状況の把握(バリア病Eミカタ)
  • その中で方向性や目標をイメージしながらカウンセリングを進める能力
  • クライアントの気持ちを楽にし、対処行動に移りやすくするような状況(症状)説明

などが試験されます。
まず、主任試験員の率直な感想として、受験者みなさんの(上級個人講座受講から今回の受験までの経験を通じた)スキルアップの大きさに驚きました。合否に関わらず、受験者全員が、受験前よりカウンセリングの実力を数段向上させて来られたと思います。
また、そのことから、新講座、新認定試験が皆さんのお役に役立っていることを実感し、協会としても今回の資格新設が正しかったのだと胸をなでおろしております。
とはいえ、合格レベルはMRIの個人カウンセリングレベルですので、かなりの難関である事には変わりありません。今回たまたま不合格であった方々も、努力の方向性は間違えていないので、今後ともトレーニングを続けていただくことを希望します。
主任試験員として、今後のトレーニングのヒントになるかと思われることを、2点ご紹介しますので参考にしてください。

1.バリア病Eミカタの状況把握を磨く

今回の試験では、介入場面での重要人物に対する2名カウンセラーでのカウンセリングにおいて、30分ほどCPSがカウンセリングしたところで「がけ崩れ」が生じ、その状態で受験者がカウンセリングを引き継ぎ、後20分で終結させるという場面が提示されました。
これがバ、「場面」ですね。さて、この状態の中で、カウンセラーは、何をどう考えるべきでしょう。

リスクはどうでしょう? 惨事後の後追いや、自殺、事故、退職、解雇などのリスクを考えます。
安全・安心はどうでしょう。クライアントが安心できる状態、環境でなければ、カウンセリング自体が成立しません。
エネルギーは、1から3段階のどのレベルか。病気は想定できるのか?
味方感は、どれほど持ってもらえているのか?
クライアントが苦しんでいるのはどんな感情や思考なのか。「4つの痛いところ」や惨事後のファーストショック、セカンドショックをチェックします。

これまでの30分のカウンセリングで、これらをどこまで把握し、味方感をどれほど積み上げてきたのか(あるいは崩れてきたのか)を踏まえて、次の20分に「何をどうするのが」もっともクライアントを効果的に支えられる支援なのかを考えます。
例えば、
クライアントのセカンドショックが大きくなっており、自殺念慮もあるとしましょう。カウンセラーの頭の中には、受診と休息の対処に進みたい。そのことを提示して、説得するという方向で20分を使おうとするかもしれません。
もし、味方関係が十分なら、良い方向性だと思います。この場合、

  • カウンセリング目標:受診・休養をしてもらう
  • カウンセラーの目標:受診・休養を上手に説明、アドバイスする
  • クライアントに提示する目標:受診・休養を組織に訴える

という目標設定になります。
ところが、味方が不十分な状態で、この目標に進むと、単に抵抗に遭うだけで、結局味方の関係をもっと崩して終結するという可能性が高くなります。
もし、味方を崩している状態なら、20分をかけて、

  • カウンセリング目標:味方の関係を補強し、次のカウンセリングにつなぐ
  • カウンセラーの目標:アドバイスを止め、味方メッセージが出るような話を聞き、その後、継続のための調整を行う
  • クライアントに提示する目標:もう一度カウンセリングに来てもらう

という方向に進むことが必要でしょう。

このように、UCPCはどんな状況においても、ワンパターンの対応に陥らず、「何が今の状態で最大の支援になるか」を考えながらカウンセリングを進めなければなりません。
ある方向で進めようと思っていたら、クライアントが想定外の話をしてきた、あるいは想定外のリスクを感じたとしましょう。このように新しい情報が入ったら、またその時点で方向性や目標を修正していきながら、その時点その時点でのベストの支援を探りながらカウンセリングしていくのです。
しなければならないことは、沢山あるでしょう。しかし、それを手順や優先順位を考えずにゴリ押しするのは、クライアントにとってむしろ「負担」となります。
CPSレベルでは、必要なことを覚えることが重要だったかもしれませんが、実際の支援場面(UCPCレベル)では、必要なことは分かったうえで、今、何を言わないか、何を提示しないか、何に反応しないかという、引き算が必要になるのです。不合格の方々は、まだ何を引けばいいのかが十分に分かっていなかったり、引き算をする勇気がなかったように感じました。

2.クライアントの状況に応じた説明

CPS試験では、クライアントに対する説明はワンパターンでよかったのですが、UCPCでは、クライアントの苦しみに焦点が合った、つまりその説明でクライアントが納得するような説明をする力が求められます。

例えば、2週間たっても現場の近くに行けないという回避の症状は、惨事後に良くある訴えです。
「それは回避という症状で、しばらくすれば良くなります」という説明は、多くのクライアントに効果的です。しかし、それだけではだめなクライアントもいるのです。
例えば、「他の人は、症状が消えているのに、自分だけ続いている。自分だけ甘えていると思われている」ということで悩んでいる妊婦の方がいるとしましょう。
この場合、その人用の説明が必要です。例えば「あなたは今妊娠されているので、母親が赤ちゃんを守ろうとする原始人的な母性本能が非常に強く働いているのです。だから、あなたは他の人より警戒心が強くなっていると思ってください。それはあなたが、自分だけを守ろうとしているのではなく、あなたの赤ちゃんを守らなければならないという思いの表れです。この反応は長くは続きません。しばらくの間なので、その間は周囲の目がつらいかもしれませんが、ちゃんと赤ちゃんを守ってあげてください」と説明します。これなら、自分だけダメ、自分だけ逃げていると悩んでいるクライアントにも受け入れられ、その苦しみに立ち向かう力になる可能性が高くなります。

このクライアントに対し、ただ「しばらくすれば良くなります」と言うだけでは、周囲の非難の目にさらされている本人の辛さを理解していない「他人事メッセージ」を出す説明になってしまうのです。
このような様々なクライアントに受け入れられる説明は、まったくの即興で出てくるものではありません。もちろん協会でお伝えしている原始人理論も有効ですが、日ごろから、宗教、映画や小説、先輩などの事例などを通じて、人間そのものについて関心を持っておいてください。これは、UCPCに求められる「カウンセラーに相応しい偏りのない価値観」の鍛錬にもなります。