平成22年度MR認定試験における認定員アドバイス

平成22年度MR認定試験における認定員アドバイス

平成22年11月20日 MR認定試験における認定員アドバイス

認定試験では、一つの惨事(ある企業における自殺)の事例にそって、組織に介入する際の「サポート戦略、組織に対する最初のブリーフィング、そして、グループに対するケアとして惨事後ミーティング」の3つの課題を実施していただきました。
現場の雰囲気や対象者の反応は、サポートの経験がないとなかなかイメージアップしにくいので、このような課題に初めて接する皆さんにとっては、難しかったのではないでしょうか。
しかしながら、本当にサポートに入るときはミスは許されません。その時に備え、今、できることをしっかりと身につけておくことは、「MR」にとって必要だと考えています。下に紹介するポイントは、合格、不合格にかかわらず受験者のほとんどの人が、まだ十分に実力がついていないと思われるテーマです。今後の活動のためにも、さらに学習、トレーニングを積んでいただきたいと思います。
 
<サポート戦略>
惨事後に介入する目的を理解し、自分なりに目標を確立しましょう。 組織は何を求めるのか、構成員は何を期待するのか、短いサポート期間で何ができるのか、サポート当日会社にいない人へどうフォローするのか(しないのか)、どの時期までフォローするのか、など幅広い視点で考えるようにしてください。
ケア手段のそれぞれの利点、欠点を整理し、対象者にあう手段を選定しましょう。 目的、目標の分析に基づき、いろんな手段を用いるのですが、その手段の特性(狙い、必要な時間、必要な人員、必要な手順、利点欠点)をよく理解しておきましょう。例えば、個別カウンセリングと惨事後ミーティングを特性に応じて、使い分けなければなりません。
 
<ブリーフィング>
「同僚の自殺」という同じ体験をしていても、人はそれぞれ感じ方が異なることを意識しましょう。 一気に多くの人に情報を発信するブリーフィングは、プラスも大きいのですが、裏メッセージにとられる可能性大きくなってしまいます。また、惨事後の時間経過によっても、どのような内容を提示するかは、刻々と変わってくるものです。もう一度、基礎講座で学んだ惨事後の反応を見直すとよいでしょう。
ケアをする側の発言が、対象者にどのように受け取られるかにもっと配慮しましょう。 基礎講座や上級講座でお伝えしている「メッセージコントロール」をさらに、意識しましょう。表情や態度、話すテーマ、話し方、言葉の選択など、メッセージコントロールの視点を常に忘れないようにしてみてください。また、表情や話し方などのトレーニングにも、一層努力していただくといいと思います。
内容(伝えたいこと)を絞り込むこと。 惨事後の方々は、本当に疲れ、頭がうまく働かない状態です。そのような人にどのような情報を提示するか、十分に内容を精査するべきです。パソコンを使った情報提供は、どうしても情報量が多くなりがちで、講座でお伝えした「項目教育」の弊害が出てしまいます。
 
<惨事後ミーティング>
事実認識を話してもらう効果をよく理解してください。 参加者にとって、どのような事実情報の共有が効果があるのかを、考えてみてください。この事例の場合、単に自殺現場の発見というショッキングな出来事ではなく、むしろその前後の情報(上司のいじめの有無、情報の隠ぺい疑惑、会社の対応、整備班の人の感じ方)などの方が重要になります。パターン化せず、常に柔軟に考える癖をつけましょう。基礎講座で勉強した内容も併せて復習するといいでしょう。
全体と一人のバランスを取りながら、ミーティングを進めていく工夫を持ってください。 一人の人が話をしている時、ほかの人の反応にも目を向ける工夫をしましょう。また、どうしてもカウンセラーと話す人の一対一の関係に終始しがちです。一人の発言を、ほかのメンバーに振るように練習してみてください。
時間管理 時間は、無限にあるわけではありません。個別でフォローすることも念頭に入れて、ミーティングを進めるような工夫をしましょう。
対象者が聴きとりやすいような声 惨事後は、どうしても参加者の声のトーンが低くなりがちです。カウンセラーまでそれにつられがちです。参加者はいつもより集中力がないので、ケアする側がしっかりと声を張って対象者に聴きとりやすいように話す必要があります。