平成26年度CPS認定試験におけるアドバイザー講評

平成26年度CPS認定試験におけるアドバイザー講評

平成26年8月2・3日CPS認定試験におけるアドバイザー講評

1 メッセージコントロール
メッセージコントロールの重要性については、ほとんどの受験生のみなさんが意識しており、ある程度のトレーニングはできていると感じました。ただ、次のような所に更に気を付けていただきたいと思います。
【笑顔のコントロールが不十分】 どうしても女性の方は、特に話をする時に笑顔ベースに戻ってしまう方がいらっしゃるようです。
【声が小さい】 相手の気持ちに合わせすぎて声が小さくなると、逆にCLは聞くのにエネルギーを使ってしまいます。もちろん大きすぎてはいけませんが、ある程度は「声を張る」つもりでカウンセリングした方が良いと思います。
【フランクすぎる言葉づかい】 CLとの距離を詰めるために、フランクな言葉遣いをするCOもいると思いますが、いきなりフランクに入ると、対人恐怖的なCLの場合、それだけで心を閉ざしてしまう可能性もあります。カウンセリングのはじめのほうは、やはり敬語ベースでやり取りするのが無難でしょう。
【一つの要素だけでメッセージコントロールができると考えない】 相手に与える印象、つまりメッセージは、例えば「優しい声で言えばいい」と言うものではありません。トータルなものです。例えば声と表情がでない、要約なしで質問を続ける(直Q)、頷きと相槌が単調である、カウンセラーの価値観が前面に出てきてしまう、などの要素からにじみ出てしまう総合的なものです。
 
2 練習の必要性
という事は、何か1つを意識しても十分ではない場合が多いのです。しかも、COが何を意識したかではなく、(結果的に、総合的に)相手にどう伝わっているかが重要です。
つまり、メッセージコントロールの訓練は、独学では限界があると言うことです。ぜひ仲間と一緒に勉強するか、どうしても仲間を見つけられない場合は、ビデオツールなどを使って客観的に自分のパフォーマンスを確認していただく必要があると思います。
また、実際に現場を持ち、ある程度の実績を持っていらっしゃる方、基礎講座などの練習の場面では上手にできていた方で、試験の場では、本来の実力を発揮できなかった方がいらっしゃいます。スポーツの場合も同じで、試合ではなかなか練習の実力が出にくいものです。それを前提に、「7割の力しか出なくても勝てるように練習しろ」と、ある高校野球の監督が言っています。我々も同じだと思います。カウンセリングの現場、特にクライシス場面では、COは大変緊張するものです。そのような現場や試験の場でも、ある程度のコンスタントなパフォーマンスが発揮できるには、練習を繰り返して体で覚えるしかないのではないでしょうか。
 
3 自分自身の価値観を見直す
メッセージコントロールの所でも触れましたが、COの価値観はどうしてもメッセージとして表れてしまいます。本人がそれに気づいていない場合が多いのですが、たとえ気付いていても、本気でそれを変えなければならないと思わない限り、なかなか価値観は修正できないものです。
カウンセリングがうまくいきにくい価値観としては、
 
  • CLに自己決定させなければならない(指示してはならない)
  • 歪んだ認識(認知)を変えてあげなければならない。気付かせてあげなければならない。
  • 私の力で少しでも楽にしてあげなければならない
  • 自責を私の一言で緩めなければならない
  • 私の一言で自信を回復させてあげなければならない
  • 必ず医療になげなければならない
このような価値観が強いと、どうしても裏メッセージに取られがちになります。このような価値観も、仲間との訓練のなかで、お互い指摘し合って、気づけるようにしていきましょう。
 
4 相手をよく観察する
COは、できるだけ裏メッセージに取られないように注意しなければなりませんが、相手によっては、思わぬ方向で裏メッセージに取られることもあります。それは仕方がないことですが、カウンセリングを行う場合はそのこと(裏メッセージに取られている事)にいち早く「気がついて」、がけ崩れ対策を行わなければなりません。
その為には、相手をよく観察しなければならないのです。特に、相手の表情、体の動き、否定的な言葉(「でも」、同じことを繰り返すなど)に注意すると良いでしょう。
講座でもお伝えしましたが、崖崩れが発生しやすい場所があります。
 
  • カウンセリングの導入部分(クライアントの不安が大きい)
  • 体験を聴く部分で尋問調になっている場合
  • 説明をする時(無理もないよメッセージが基礎メッセージを否定する)
  • 対処法を説明する時(こうすればいいよメッセージが、すべての下位メッセージを否定する)
このような場面では、裏メッセージを意識して、注意深くCLを観察するようにしてみてください。
 
5 体験の聞き方
今回の試験では、体験の聞き方で「尋問調」になる方が目立ちました。
体験の聞き方のコツは、初心者には、「細部まで聞くこと」を伝えています。今回は、ここまではほとんどの方ができていらっしゃいました。次のコツは、「尋問調にならないように聴く」ことです。
細部まで聞く、の目的は細部を聞くことによって相手の体験した異常の世界を効果的に「共感」できるからです。しかしながら細部まで聞こうとして尋問調になると、結局冷たい感じや、調べられているような雰囲気が強くなって、共感(味方感)が薄れてしまいます。また、冷静で中立的な聞き方もクライエント側にすると、味方になってもらえている感じが持ちづらいものです。
尋問調にならないためのコツは
 
  • 体験を聴く理由を説明する。
  • その部分を聴く理由を説明する。(背景説明)
  • 感情が含まれている部分では、ファイブステップを駆使して共感を示しつつ、メッセージを載せて要約する。
  • ノートに書くタイミング、話に集中するタイミングを使い分ける。
また、受験者の中には「大変な出来事を詳しく聞いたら傷つけてしまうのではないか」という恐れや迷いをもって聞いているような印象も受けました。
悲惨な話を聞く時、たとえクライエントに否があろうとも「徹底的に味方になって聞く」ことで、悲惨な出来事を細かく聞いても、クライエントは「傷つけられた」「取り調べを受けた」と感じるよりも「この人は自分の苦しみを本当に分ってくれている(さすが専門家)」の印象の方が大きくなるはずです。繰り返しになりますが、体験を細部まで聞く目的は「カウンセラーが事実を正確に知る」ことではなく「クライエントのお話のどこの部分に自責や無力感など(=とても苦しくて痛い症状)が隠れているかを理解するため」です。カウンセラーは自責や無力感が隠れていそうなところを想像しながら聞くのです。そこを意識しながら聞きすすめると、中要約は事実をまとめる要約ではなく、必然的にねぎらいだったり健闘をたたえるメッセージを込めたものになってくるはずです。また、カウンセラーからのねぎらいや健闘のメッセージをクライエントが素直に受け取れなかったとしても「そういう風にしか今は思えない」というその状態の味方になる「相手の状態に合わせた押し引き」が必要です。
クライエントがどんな状態であっても、その状態の味方になる(=変わらなくていい)ということを忘れないようにしてください。
 
6 構造を進めるか、CLの不安に応えるか
構造で進めることは初心者にとっては重要なコツですが、もし途中でクライアントがあることを聞いてきたり、一つのテーマにこだわったりする場合は、クライアントの不安にある程度答える必要があるでしょう。たとえ体験の段階の途中でも、強引に構造を進めようとしても、クライアントが置いてきぼりにされた感じがして、結果的に味方感を失います。
体験の段階の途中で、感情や症状説明に入らざるを得ない場合は、クライアントがそのテーマを話してから、あるいはこちらの説明にある程度納得してから、構造に戻るようにします。構造を進めることが目的ではありません。あくまでもコツです。
 
7 症状説明
今回の試験では、症状や対処法についての説明があまり上手ではなかったように思います。
ファーストショックなら、基本的には大事(おおごと)にせずに、観察しておく対処が鉄則ですが、今回の介入時期は3週間でした。「1ヵ月で収まります」という説明では、まだ症状が治まってきている実感がないCLは不安になりますし、「3ヶ月ほどは長引きます」では、負担感が強くなります。言葉だけではなく、症状低下のグラフを描いて、直後からの苦しさの低下度を意識してもらうと良いでしょう。
また、原始人の比喩を使っての説明にトライした受験者もいましたが、説明がこなれておりませんでした。よく練習しておくと良いでしょう。相手を説得することが目的ではありません。現場ではシンプルな説明(論理)が必要になります。また理屈よりも事例の方がインパクトがあります。さらに、説明をしているときは、よくCLを観察して崖崩れになっていないか注意する必要があるのは、先に述べた通りです。
またこのようなCLの場合、「あの人はもう落ち着いているのに、どうして自分だけ症状が残っているのか」ということに第二の無力感を強く感じている場合があります。このような場合は、「あなたには特別の事情や心理メカニズムが働いているから、この症状が強く続いている、これをこうすればいい、これがこうなると治まってくる」という、その人オリジナルの説明をしてあげなければなりません。CPS試験ではそのような説明のうまさは採点にはあまり影響しませんが、実際現場では大変大きな要素になります。そのような説明のスキルは、来年度新設されるうつ・クライシス上級講座で取り扱いますので、関心のある方は受講してください。(CPS合格していなくても受講できます。)

平成27年3月7・8日CPS認定試験におけるアドバイザー講評

<平成26年度のCPS認定試験を終えて>
CPS認定試験の受験、おつかれさまでした。
回を重ねるごとに受験者のレベルが上がっていることを肌で感じます。認定試験を運営しながら、このような刺激を受けると、講座の実技指導に入るときはしっかり準備をしなくてはと、鉢巻きを締め直すことができます。
メンタルレスキュー協会が重視しているのは知識だけではなく「実践力」です。実践力は使わないと身に着かず、失われてしまいます。やってみてうまくいかなかったところをどうするか考えて、もらったフィードバックと合わせて次のロールプレイで修正してやってみる。やってみて、考えて、またやってみる。このサイクルをまわし続けることです。
認定試験もまた、このサイクルの中のひとつの場です。合否の結果にかかわらず、基礎講座の再受講、協会主催の勉強会への参加、受講仲間や協会スタッフを巻き込んでの自主勉強会などで刺激しあいながらトレーニングを続けていただければと思います。  文責:認定委員長 塩坪純
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今回は、30名の方々が受験され、63パーセントの方々が合格されました。アドバイザーとして次のような点に気が付きましたのでご紹介します。  MRシニアインストラクター 下園壮太
 
1 痛いところにうまく対応できていない
カウンセラーとして、クライアントの「痛いところ」に上手に対応できるかどうかは極めて重要な能力です。「対応の能力」は2つの部分に分け考えることができます。一つは「痛いところ」を正しくつかめるかです。もう一つは、痛いところに気がついたときに、「どのように反応するか」です。
(1)痛いところを察知する
ガス事故に対応したクライアントのケースで説明します。事故現場の詳細を聞き、遺体に関わった辛さに共感する受験者は多かったのですが、クライアントがその場で気を失いその後3日間入院したこと、つまりクライアント自身が死の恐怖を感じたことについて、スルーした方が多かったようです。これまで講座などで練習してきたケースでは、事故現場についての回避や、そのイメージの侵入、眠れない、イライラなどの過覚醒、それらに伴う無力感や自責の念を扱ってきました。今回は、惨事に触れる体験だけでなく、直接自分自身に危険が降りかかったケースです。その場合、ファーストショックに恐怖や不安が加わります。今回のクライアントの一番の「痛いところ」は(自責に加え)その恐怖です。単に一般的な回避症状として「原始人」の比喩で説明されても、その痛さを認識していない場合、相手の心に響いてくる説明にはなりません。より現実的なケースだったので、救済者としての感性が問われることになったかもしれません。これらの感性を磨くには、講座でも紹介した通り、より多くの事例に触れることです。映画、小説、ドキュメンタリーなど、その気になれば教材はどこにでもあります。3・11から4年目の春。今、テレビなどが多くの人々のケースを紹介してくれています。ぜひ、ご覧になって、メンタルレスキュー(心の支援者)としての感性を磨いておきましょう。
 
(2)メッセージコントロールで正しく対応する
痛いところを正しく察知しても、それをスルーしたり、逆にがけ崩れを起こすような対応しかできなければ、元も子もありません。痛いところへの反応手段としては表情、要約(感情を盛った要約)筆記、その細部ついてのさらなる質問などがあります。つまりメッセージコントロールです。
すべての受験者はメッセージコントロールを意識してカウンセリングをしてくださいました。しかし、残念ながら不合格だった方は、痛いところに対して、クライアントに十分なメッセージが伝わっていない人が多かったのです。
メッセージコントロールの重要性はほとんどの受験者が認識し、かなり意識して「5ステップ」や「感情を盛った中要約」などを試みてくださいました。受験後の諮問でも「メッセージコントロールは意識して、自分なりにはよくできたと思います」と振り返ってくださる方も多かったのです。しかし残念ながら、そのような方のなかにもメッセージコントロールが不十分という事で、不合格になってしまった方がいらっしゃいました。メッセージコントロールの難しさは、「自分の意識」がそのまま、現実に相手に伝わるものではないという事です。自分では「しっかり表現した」と思っていても、客観的に相手に伝わっていなければ、パワーがないのです。
私は講座でのみなさんの姿を見ています。不合格だった方でも、講座の時よりはかなりレベルアップしている方が多く皆さんの努力を感じることができました。しかし、それがカウンセリング現場(特にクライシス現場)で相手にしっかり通じるようなメッセージコントロールに至っていないと評価された場合、残念ですが、不合格と判定されました。
ただ、不合格になったからと言って、すべてを投げ捨てないでください。皆さんの成長のための「変化の方向性」は間違えないのです。ただ、トレーニングが足りなかっただけなのです。
メッセージコントロールは、ご自分だけでトレーニングするのが難しい技術です。まずは鏡やビデオで自分の姿を「見る」のは必須の訓練ですが、それだけでは自分の感性だけでのチェックになってしまいます。自分の姿が「他人に」どう見られるかという視点からも訓練しなければなりません。ぜひ仲間を集って、勉強会などでお互いのメッセージコントロールをフィードバックしながら練習してみてください。
 
2 体験の聞き方が不十分(体験を聞く意味)
試験員から「体験を聞く意味」を質問された方が多かったと思います。
多くの方は、「事実をしっかり聞いて、共感するため(味方になるため)」と答えてくれました。正しい答えです。惨事の場合、感情より事実に共感できるポイントが隠れています。ただ、体験を聞くのはそれだけではありません。講座でも下のスライドで説明した通り、「ゆがんだ事実認識を修正するチャンスを提供する」という目的があります。
例えば、ガス事故のケースでは、「自分が換気をしろと強制しなかったから事故が起こった」という強い自責があります。この場合、
・換気扇の件は、どう知った?どう伝えた?
・相手はどう反応した?その時どう考えた?
・事故が起こる前での間、クライアントは何をしていた?
など、細かく事実認識を聞いていく必要があります。
すると、細部を思い出す段階で、「そういえば、あの日は前日のクレームの処理が急がされていて、事務の方に集中しなければならなかった」とか「注意したとき、一人が窓の方に向かっていったので、窓を開けると思った」など、その時のクライアントの細部の思考を思い出すことができたりするのです。
人は、その場その場で結構適切に考えながら行動をしているものです。ところが、惨事が生じてしまうと、「自分が悪かった」という偏った思考でしか過去を見ることができません。惨事カウンセリングで、過去を詳細に聞いて差し上げることで、クライアントが、「その時な行動にはその時なりの理由があったこと」を思い出すきっかけになるのです。
 
3 「構造化」と「話の流れ」
2で説明したように、体験は詳しく聞く必要があります。ただ、何を、どのレベルまで詳しく聞くのか、というのは、難しい問題です。
例えば、ガス事故の場合、パートの方の時給を聞いてもあまり意味はありません。ところが、パートの方の経験年数を聞くのは、意味があるかもしれません。このあたりは、カウンセリングできる時間との関係もありますが、大きくは、概要を聞き、その中で漏れ出してきた「痛さ」をとらえ、痛さ(自責、無力感、恐怖、怒り…)等が潜んでいそうな部分の体験を、更に細かく聞いて行くという流れになると思います。
こう聞くと、「あれ、講座ではまず体験を重視して、感情はその次に聞き、症状や説明はその後、と教わったけど」と感じる方も多いと思います。
 講座では、一つのパターンとして構造化(面接の手順)をお伝えしました。しかし、すべてのカウンセリングには、個性(流れ)があります。惨事の特性、クライアントの特性(関心、不安)、カウンセリングで利用できる時間、話の進み方などで、変わってくるし、変えていかなければならないのです。
体験の聞き方に話を戻すと、簡単な出来事なら、まず体験を集中的に聞き、その次に感情、その次に症状というステップを踏めます。 また例えば震災の場合など、体験と言っても、あまりにもたくさんありすぎて、どれか一つを聞いていると、それだけでカウンセリングの時が過ぎてしまいます。継続できる場合なら、もちろんそのような聞き方でも問題ありません。しかし、1度しか支援の機会が取れないという難しい場面もあるのです。メンタルレスキュー協会では、そのような難しい場面でも、少しでも有効な支援ができるように、まずは体験を「大まかにでも全体像を聞く」ということに、時間を割く手順を構造化面接手順として、提示しているのです。
今回のガス事故のような場合、簡単な出来事と震災のような長期的惨事の中間に位置づけられる惨事です。このような場合、まず全体を把握し、次に細部を聞いていくという方法が良いでしょう。
さて、もしクライアントが体験を話しているうちに、今悩んでいる症状について質問してきた場合どうすればいいでしょうか。カウンセラーは、構造化を進めたい。クライアントは、もっと現実的にカウンセラーの意見やアドバイスを聞きたい。
このような場合、クライアントが「事実を細かく聞かれるカウンセリングの進め方」に疑問を持っていると感じる必要があります。少しだけ「がけ崩れ」と考えてください。
このような場合、味方に戻る。つまりクライアントの意向を尊重し、クライアントの質問に答えることを優先するべきでしょう。例えばカウンセラーとしては、“まだ事実は聞いていないし、感情も分からないし、症状も聞いていないから、説明できない!”と感じていても、「今、私がお聞きした範囲ですが、眠れない症状や厨房に入れないという症状は、○○さんが今回経験したような大きな出来事の後、多くの人が訴える症状で、実は、それだけならそれほど心配する必要はないのです。例えば…」と事例を話します(残念ながら、今回の試験で「事例」を使って説明した方は一人もいらっしゃらなかったのです。事例は非常に強い説得力を持ちます。ぜひ、説明に使える事例を準備してください)。 このように今の時点での、カウンセラーの考え(見立て)を説明するのです。
その上で、「ただ、例えば“厨房に入れない”という症状には、もしかしたら私がまだ分かっていない違う意味合いが隠れているかもしれないので、もう少し具体的に事件のことをお聞きしたいと思うのですが、」と体験に戻ればいいでしょう。
今回の試験に際し、受験者それぞれの体調やライフイベント、あるいは緊張もあり、必ずしも受験者の実力を反映できなかった方も多いと想像します。メンタルレスキュー協会での試験は、その方を絶対的に評価するものではなく、トレーニングの目標としていただくものです。合格、不合格に関わらず、ぜひ更なる実力向上のモチベーションにして欲しいと思います。
なお、メンタルレスキュー協会は、27年度からの新講座として、「危機介入カウンセリング上級講座」を開始します。特に上級(個人)Ⅱでは、クライシスカウンセリングの戦略的進め方を勉強します。今回の試験のような少し複雑なケースをどう考え、どう情報収集し、どのようなゴールをイメージしながらカウンセリングをマネジメントしていくかを考える講座です。
上級(個人)講座は、CPSの合格は受講の条件ではありません。知識として、どんどん先に勉強を進めていただきたいからです。ただし、実際のカウンセリングでは、上級講座で勉強することより、基礎講座での知識やスキルの方が大きな意味を持ちます。ですから、上級講座で勉強すればそれでいいというものではなく、基礎講座のスキルは、ぜひ今後も継続してトレーニングしていってほしいと思います。