2026年度(令和8年度)MRC認定試験における主任試験員兼アドバイザー講評

2026年度(令和8年度)MRC認定試験における主任試験員講評

2026年度MRC認定試験における主任試験員兼アドバイザー講評

試験について下園MRSI(主任試験員)より講評をいただきました。皆さんの今後の参考にしてください。
2026年度認定部

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全体的に皆さん、とてもよく勉強し、実力を上げて受験していただきました。合格しなかった方も、あと一歩というところです。以下、共通して意識、改善していただきたい点を解説します。
主任試験員 下園壮太MRSI

 
1.メッセージに意識を向ける
メッセージ・コントロールは、CPS(心理的応急処置等の基礎)の頃から大変重視している内容です。MRC(メンタルレスキュー・カウンセラー)に挑戦する際も、あらゆるコミュニケーションにおいて「メッセージ」を大切にしてほしいと思います。
例えば、ファイブステップや要約質問などの基本技術だけでなく、MRCレベルであれば「表情」も適切にコントロールすべきです。自分の動画を見直す際は、何を言っているかだけでなく、自分から「どのようなメッセージが発信されているか」を確認してください。
特にアウトリーチを行う惨事現場では、相手がこちらの意図しない「裏メッセージ」として受け取りやすいことを意識する必要があります。
  • 例1:亡くなった原因や病名をあえて聞かないことで、「その話題は避けるべきであり、支援の場でも扱わない」というメッセージを与えてしまう。
  • 例2:論理的な説明であっても、相手の疑問への回答を後回しにすると、「私の疑問は重要ではないと判断された」という裏メッセージになりやすい。
  • 例3:「これだけはやってください」と多くのアドバイスをすると、「これらを全て覚えないと大変なことになる」という不安や負担感を与える可能性がある。
  • 例4:あまりショックを受けていない人に対し、初期反応(ファーストショック)を丁寧に説明しすぎると、「そうした反応が出ていない自分はおかしいのではないか」というメッセージになりかねない。
  • 例5:スライドに「死にたい」という文字が残っているだけで、「今回の入院は実は自殺だったのではないか」という憶測(裏メッセージ)を呼ぶ可能性がある。
  2.出来事をどう捉えるか
MRCの試験対策では、まず「出来事の詳細」を聴く練習を多く行います。これには2つの目的があります。
  • 相手の味方になるため:体験を詳しく聴き、丁寧にケアすることで信頼関係を築く。
  • 支援メニューへの反映:惨事の性質を理解し、適切な支援を組み立てるため。
しかし、これらも状況によって達成方法が変わります。例えば、惨事を直接体験していない管理職が相手であれば、現場の状況よりも「業務上の苦労」を聴く方が味方になりやすいものです。
今回のケースでは、現場の状況、個人のつながり、あるいは業務全体の話など、どこに焦点を当てることも可能でした。必ずしも「細かい現場の話」をしなければならないわけではありません。しかし、自動的に出来事から始める方がいらっしゃいました。今回のケースでは、悪くはないのですが、パターン化していないか心配です。
また、「惨事」の捉え方についても再考が必要です。多くの人が「倒れた現場」を中心に考えていましたが、「過重労働の末に人が倒れてしまった」という側面での惨事として捉えることもできます。
もし協会への依頼ルートが、過重労働を危惧する産業医からであったなら、後者の文脈で捉える方が場に即しています。さらに、発生から1ヶ月が経過している場合、講義でファーストショックの話を詳しくするのは時期尚早(あるいは場違い)かもしれません。支援目的の調整面接は、その出来事が「組織にとってどのような意味を持つのか」を把握することから始まります。

  3.情報提供のボリューム
15分間の情報提供において、伝えたいことが多すぎて情報過多になる傾向があります。先述した通り、情報量の多さは相手への負担だけでなく、不安を増幅させます。現場ではできるだけシンプルな情報提供を心がけましょう。
講座でもお伝えしている通り、まずは「伝えたいこと」を一つに絞ります。そして、その一点を伝えるために必要な要素だけを抽出してください。協会の提供スライドには多くの情報が詰まっています。そのまま使うとほぼ確実にオーバーワークになると自戒しておくべきでしょう。
  1. 結論を決める
  2. それを説明する端的な情報を1〜2つ選ぶ(単純説明)
  3. 比喩や事例で厚みを持たせる
この構成で、1テーマ(多くても2テーマ)に絞って15分間でアウトプットする練習を、ぜひ積み重ねてください。